腰痛コラム2026.10.15

ぎっくり腰は「癖」ではありません|急な痛みの前にある積み重ねと、くり返さないために

「朝、顔を洗おうとかがんだ瞬間に、腰がピキッと……」。朝晩が冷え込みはじめるこの時期、こうしたご相談が毎年増えてきます。大阪・玉造の腰ひざ専門よしかわ整体院、院長の吉川祐介です。

ぎっくり腰は「癖」ではありません|急な痛みの前にある積み重ねと、くり返さないために

ぎっくり腰は「急に」起きる。でも、準備は前から始まっています

ぎっくり腰は、重い物を持ち上げたとき、くしゃみをしたとき、顔を洗おうと前かがみになったときなど、ほんのささいな動きをきっかけに起こります。

だから「急に腰が壊れた」と思われがちです。でも、当院でお話をうかがっていると、ほとんどの方にその前の段階があります。背中が張っていた、腰が重かった、朝の動き出しがこわばっていた。そこに疲れや寝不足が重なり、最後のひと押しで痛みが出る、という流れです。

コップに少しずつ水がたまっていき、最後の一滴であふれるのに似ています。あふれた瞬間の一滴は、くしゃみや前かがみ。でも、コップをいっぱいにしていたのは、それまでの積み重ねです。

コップに4色の水がたまり、最後の一滴であふれるイラスト。層は下から疲れ・寝不足・同じ姿勢・冷え、最後の一滴はくしゃみや前かがみ

これは研究でも裏づけがあります。オーストラリアで、ぎっくり腰(急な腰痛)になった約1,000人に「痛みが出る直前に何をしていたか」を調べた研究では、次のような状態のときに痛みが出やすくなっていました。

また、痛みが出やすい時間帯は朝7時から正午まででした。

ちなみに同じ研究では、お酒を飲んだこと自体は、きっかけとして関係が見られませんでした。ただ、飲み会や食べすぎが続く時期は、寝不足や疲れが重なりやすくなります。注意したいのはお酒そのものより、そちらのほうです。

どのくらいで良くなる? 多くは日ごとに軽くなります

ぎっくり腰の痛みは、最初の数日がいちばん強く、多くの方は日ごとに軽くなっていきます。早い方は1週間ほどで落ち着くこともあります。

約1万1,000人分のデータをまとめた研究では、急な腰痛の痛みの強さは、発症から6週間で平均して半分以下になっていました。

ただ、「1週間で必ず治る」わけではありません。2〜3週間かかる方もいれば、軽い痛みが長く残る方もいます。

そしてもうひとつ大事なことがあります。痛みが引いたことと、体が元に戻ったことは、同じではありません。

「癖になる」のではなく、同じ原因が残っている

「ぎっくり腰は癖になる」とよく言われます。くり返す方が多いのは事実です。腰痛から回復した250人を1年間追いかけた研究では、約7割の方が1年以内に再び腰痛を経験していました。

注目したいのは、この研究でくり返しやすかった人の特徴です。

つまり、腰に「癖」がついたというより、痛みのきっかけになった条件が、そのまま続いていると考えるほうが自然です。同じ仕事、同じ姿勢、同じ疲れのたまり方。痛みだけが落ち着いて、生活はそのまま、という状態です。

当院でくり返す方の体を見ると、痛みが引いたあとも背骨や股関節の動きが硬いままだったり、右と左で体の使い方に大きな差があったりすることがよくあります。

利き手・利き足があるように、右と左で使い方が違うのは自然なことです。ただ、いつも同じ足に体重をかけて立つ、いつも同じ側の肩で荷物を持つ、といった偏りが続くと、負担も片側に集まっていきます。実際に、腰もひざも肩も、痛むのはいつも右側、という方もいらっしゃいます。

痛みは消えても、コップの水位は高いまま。だから次の「一滴」で、またあふれてしまうのです。

氷山のイラスト。水面の上に見えるのは痛みだけで、水面の下に動きの硬さ・右と左の差・座りっぱなし・疲れが隠れている

秋から冬に相談が増える理由

当院では毎年、秋から冬にかけてぎっくり腰のご相談が増えます。

季節の変わり目は、体が「体温を一定に保つ働き」をフル回転させる時期です。暑い日と寒い日が入れ替わり、朝晩と日中の気温差も大きくなります。この時期にだるさや疲れを感じやすい方も多いと思います。

ただ、正直にお伝えしておくことがあります。天気と腰痛の関係を約1,000人で調べた研究では、気温・気圧・湿度・雨と、ぎっくり腰の起こりやすさには関係が見られませんでした。「気圧が下がったから、ぎっくり腰になった」とまでは言えないのです。

では、なぜこの時期に増えるのか。当院では、天気そのものより季節に伴う生活の変化が大きいと考えています。

いずれも、コップの水位を上げるものばかりです。

なってしまったときの動き方

痛みが強いと、じっと寝ていたくなります。でも、痛みの出ない範囲で、少しずつ動くほうがおすすめです。「安静にするように」と言われた人より、「普段どおり動くように」と言われた人のほうが、痛みと動きの回復が少しよかった、という研究のまとめがあります。

体は冷やさないようにしてください。温めると楽になる方が多いです。

朝、布団から出るときは、次の順番を試してみてください。

  1. 深呼吸をする。仰向けのまま、お腹に手を当てて、鼻から3秒吸って、口から10秒ほどかけて吐きます。2〜3回で十分です(膝を立てたほうが楽な方は、立ててかまいません)
  2. 体の端から動かす。足首をゆっくり10回まわし、ふくらはぎ、太ももの順に軽く伸ばします。いきなり腰から動かさないのがコツです
  3. 横向きになってから起きる。横向き→腕で床を押して上体を起こす→最後に立つ。腹筋で一気に起き上がるのは避けてください
布団の中でできる3つの動き。1 仰向けで深呼吸、2 足首をまわす、3 横向きになってから腕で起き上がる

どの動きも、痛みが強まる場合はすぐにやめてください。

この場合は、まず病院へ

整体院として、ここははっきりお伝えします。次のような場合は、整体より先に医療機関で診てもらってください。

医療機関で大きな問題がないと分かったうえで、体の使い方のほうを整えたい、という段階で来られる方も多くいらっしゃいます。

くり返さないために、当院がすること

痛みが落ち着いたら、ここからが本番です。当院では、ぎっくり腰をくり返す方には次のことを確認します。

当院での検査の様子。仰向けで両腕を上げてもらい、右と左の腕の長さや上がり方を比べている

写真は、当院での検査の様子です。仰向けで両腕を上げてもらい、右と左で腕の長さや上がり方に差がないかを確かめています。

予防については、約3万人分の研究をまとめた報告があります。そこでは、運動(と、体の使い方を学ぶこと)が腰痛の予防に役立つ一方で、腰痛ベルトや靴の中敷きだけでは、予防の効果は見られませんでした。

だから当院では、硬くなった動きを整えるだけで終わらせず、その方が続けられる運動と、生活の中での体の使い方をお伝えしています。力任せに押したり、バキバキ鳴らしたりする施術ではありません。

腰痛全般については慢性腰痛のページに、当院の考え方は院長紹介に、通院回数と料金の考え方は料金ページにまとめています。

「また来るかもしれない」と毎年おびえている方は、痛みが落ち着いているうちに、一度体を見せてください。

参考にした研究

※ この記事は一般的な体の仕組みと研究結果についての説明であり、診断や治療効果を保証するものではありません。感じ方や変化には個人差があります。痛みが強い場合や上記のサインがある場合は、医療機関にご相談ください。

よくあるご質問

ぎっくり腰は、どのくらいで良くなりますか?

痛みは最初の数日がいちばん強く、多くの方は日ごとに軽くなっていきます。早い方は1週間ほどで落ち着きますが、2〜3週間かかる方もいます。研究では、発症から6週間で痛みの強さが平均して半分以下になっていました。日にちがたってもまったく軽くならない、むしろ強くなる場合は、医療機関で一度診てもらってください。

ぎっくり腰は、温めたほうがいいですか?冷やしたほうがいいですか?

どちらが正解と言い切れるほどの研究は多くありません。当院では、温めると楽になる方が多いので、まずは体を冷やさないことをおすすめしています。ただ、腫れや熱っぽさがある、温めると痛みが増すといった場合は、無理に温めないでください。

ぎっくり腰は癖になりますか?

くり返す方が多いのは事実です。ただ、腰に「癖」がつくというより、痛みのきっかけになった条件——同じ姿勢・同じ仕事・疲れのたまり方・動きの硬さ——が、痛みが引いたあとも続いていることが多いと当院では考えています。条件が変われば、くり返しにくくなる余地があります。

ぎっくり腰になった当日でも、整体に行っていいですか?

記事中の「この場合は、まず病院へ」に当てはまるものがなければ、動ける範囲でのご来院は可能です。ただ、痛みが最も強い時期に一度で痛みをゼロにすることは難しい場合が多く、当日は「楽に動ける姿勢と動き方」を見つけることが中心になります。くり返しを減らすための確認は、痛みが落ち着いてからのほうがしっかりできます。

初回 検査&整体コース(60分)4,800円(税込)

カウンセリング・姿勢撮影・検査・施術・セルフケア指導まで、すべて院長が担当します(通常11,000円)

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