「ひざが痛いんですけど、病院と整体、どっちに行けばいいんですか?」。ひざのことでご相談をいただくとき、とても多いご質問です。大阪・玉造の腰ひざ専門よしかわ整体院、院長の吉川祐介です。

先に結論をお伝えします。ひざの痛みで迷ったら、まず整形外科です。整体院が「病院の代わり」になることはありません。
整形外科は医師がいる医療機関です。レントゲンやMRIで骨や関節の中を調べ、病名を診断し、薬や注射、手術が必要かどうかを判断できます。整体院は医療機関ではないので、診断も画像の検査もできません。
そのかわり整体院が見られるのは、そのひざに負担が集まってしまう、立ち方・歩き方・体の使い方のほうです。
家にたとえると、わかりやすいかもしれません。整形外科は、柱や土台にひびが入っていないかを調べる「建物の検査」。整体院は、家が片側に傾いていないかを見て、扉や窓がきしまないように整える役目です。ひびが入っているのに傾きだけ直しても意味がありませんし、ひびがないとわかったあとも、傾いたままでは扉はまたきしみます。だから、順番が大事なのです。
次のようなときは、整体より先に医療機関で診てもらってください。

これらは、骨折やじん帯・半月板のけが、関節の中の炎症など、医師の診察や検査が必要なものが隠れていることがあるサインです。
整形外科では、どこが・いつ・どんなふうに痛むかを聞いたうえで、ひざの動く範囲や腫れ、脚の形などを診察し、レントゲン、必要に応じてMRIで関節の中を確かめます。今の骨や関節の状態を一度見ておくことは、とても大切です。
日本整形外科学会によると、中高年に多い「変形性膝関節症」は、初期には立ち上がりや歩き始めなど、動き始めのときだけ痛み、休むと楽になることがあるとされています。ただ、同じような痛み方でも、原因が同じとは限りません。病名は自分で決めずに、医師に確かめてもらうのが安心です。
治療としては、痛み止めの飲み薬や貼り薬、関節への注射、太ももの筋肉を鍛える運動や関節を動かす訓練、靴の中敷きやサポーターなどが行われます。手術が必要かどうかの判断も、医師にしかできません。
ひざのレントゲンを撮ったあと、よく聞く言葉が2つあります。「軟骨がすり減っていますね」と「骨に異常はないですね」です。
「異常なし」は、悪い知らせではありません。骨折や大きな変形など、急いで治療しなければいけない問題がないと確認できた、という大事な情報です。
「軟骨がすり減っている」も、聞くと不安になる言葉です。軟骨は年齢とともに少しずつすり減り、自然に元に戻ることはありません。ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。軟骨そのものには、痛みを感じる神経がありません。
アメリカの整形外科医が、関節の中に麻酔をせず、自分のひざの中を内視鏡でさわって確かめた有名な研究があります。お皿の裏の軟骨は、さわっても何も感じませんでした。いちばん強い痛みを感じたのは、お皿の下にある脂肪のクッション(膝蓋下脂肪体)や、関節を包む膜だったのです。1人の体で確かめた研究ですが、その後の研究でも、この脂肪のクッションには痛みを伝える神経が多く通っていることがわかっています。
実際に、レントゲンに写る変化と痛みは、はっきりとは一致しません。写真ではすり減りが見つかっても痛みのない方は多く、反対に、変化が小さくても強く痛む方もいます。
当院でも、ひざの内側やお皿の下の痛みを細かく確かめていくと、痛みの出どころが、お皿の下の脂肪のクッションや、ひざの内側にある筋肉の付け根(鵞足(がそく))など、関節のまわりのやわらかい組織であることがとても多い、というのが実感です。変形性膝関節症と言われた方でも、同じことがよくあります。
もちろん、関節の中の炎症や骨の変化が痛みの原因になっていることもあり、それを確かめられるのは医療機関だけです。だからこそ「まず整形外科で骨と関節を確かめ、そのうえで、まわりの組織に負担をかけている体の使い方を見直す」という順番をおすすめしています。
「年齢のせいですね」と言われた方へのお話は、階段の下りだけひざが痛い方への記事にも書いています。
まず、整体院にできないことを、はっきり書いておきます。
そのうえで整体院にできるのは、ひざのまわりの組織に負担が集まっている理由を、ひざの外まで含めて探すことです。
ひざは、股関節と足首という、よく動く2つの関節に挟まれています。ひざは主に「曲げる・伸ばす」を受け持つ関節なので、上の股関節や下の足首がうまく動かないと、そのしわ寄せがまん中のひざに集まりやすくなります。

運動についても、正直にお伝えしておきます。ひざの変形性関節症に対する運動の研究をまとめた最新の報告(2024年)では、運動によって痛みや動きやすさは改善するものの、その改善の幅は控えめでした。「やれば必ず大きく良くなる」ものではありません。だから当院では、ただ回数をこなす運動ではなく、その方の体の使い方に合った動きを一緒に探すことを大切にしています。
当院にひざの痛みで来られる方は、看護師さんや飲食店で働く方など、立ち仕事の方がとても多いです。そして痛む場所は、ひざの内側が圧倒的に多くなっています。
一日中動いているので、足はよく使っているように思えます。ところが体を見ていくと、じっと立っている時間が長かったり、股関節から脚を振り出さずに、すり足ぎみに歩いていたりする方がとても多いのです。動いているのに、使うべきところが動いていない。そのぶん、ひざに負担が集まってしまいます。
よくあるのは、次のような流れです。
研究でも、ひざの内側に変形がある方がお尻まわりの筋肉を12週間鍛えたところ、ひざの痛みが軽くなったという報告があります(このとき、歩くときにひざにかかる力の数値そのものは変わりませんでした。痛みが楽になるしくみは、まだすべてはわかっていません)。
当院では、ひざの痛みでも、ひざだけを見ることはありません。

右と左で、体の使い方がまったく同じ人はいません。ただ、その差が大きいほど、負担は片側のひざに集まりやすいと当院は考えています。力任せに押したり、バキバキ鳴らしたりする施術ではありません。
整形外科に通いながら、整体院を併用することもできます。受診の前には、次のことをメモしておくと、どちらでも伝えやすくなります。
ひざの症状についてはひざの痛みのページに、通院回数と料金の考え方は料金ページにまとめています。病院で骨や関節に大きな問題はないとわかったのに痛みが続いている方は、一度、ひざ以外のところを見せてください。
※ この記事は一般的な体の仕組みと研究結果についての説明であり、診断や治療効果を保証するものではありません。感じ方や変化には個人差があります。痛みが強い場合や上記のサインがある場合は、医療機関にご相談ください。
併用はできます。医師から「この動きは控えて」などの指示がある場合は、そちらを優先します。来院のときに、診断名やレントゲンの結果、医師から言われたことを教えてください。新しい症状が出たときは、整体より先に医療機関へご相談ください。
すり減った軟骨が元に戻ることはありません。ただ、軟骨そのものには痛みを感じる神経がなく、痛みはお皿の下の脂肪のクッションや、ひざの内側の筋肉の付け根など、まわりのやわらかい組織から出ていることも多くあります。そこに負担が集まる体の使い方は、見直せる余地があります。関節そのものの状態については、医師にご相談ください。
「異常なし」は、骨折や大きな変形など、急いで治療が必要な問題が見つからなかったという意味です。レントゲンには、脂肪や筋肉、腱といったやわらかい組織はほとんど写りません。痛みがそちらから出ている場合は、写真に写らなくても痛みは起こります。
ひざに水がたまるのは、関節の中で炎症などが起きているサインです。まずは医師の診察と指示を優先してください。腫れや熱が落ち着き、医師から動いてよいと言われたあとで、体の使い方を見直したい段階になったらご相談ください。
初回 検査&整体コース(60分)4,800円(税込)
カウンセリング・姿勢撮影・検査・施術・セルフケア指導まで、すべて院長が担当します(通常11,000円)